1990年代、日本のファッション市場で起こったヴィンテージデニムブーム。1970年以前のディティールは新しい価値として評価され、レプリカが量産された。その当時、1980年代のデニムは最も低い評価だった。
当時10代だった私も、最も退屈な時代だと感じていたし、ファッション雑誌で謳われるヴィンテージのディティールこそが、デニムの価値と信じて疑わなかった。ヴィンテージが買えない代わりに、レプリカをいかに本物に近づけることができるかに価値を見出していた。
あれから30年、いつの間にか建前を前提とした社会人として、自分の本音を横に置いて過ごしてきた今、1980年代のデニムにある種の懐かしさと、なぜか気楽さを感じる。
気合いを入れた経年変化でもなく、着古したデニムを模した色落ち加工でもない。あくまでもファッションとして加工されたデニムは、1980年代から一周回って、今また再評価されている。
まるでゼロから磨き上げることが全てじゃない、自らを飾ることもまた自分の姿だと言ってくれている様な、そんな表情を見せてくれる1980年代のデニムを、今とても愛おしく感じている。
